ストーリー
主な登場人物
基礎的な用語解説
攻略ルート
物語について
日本のとある地方都市「冬木市」。この地では数十年に一度、持ち主のあらゆる願いを叶えるとされる「聖杯」が現れる。
聖杯は自らを手にできる一組を決定する為に七人の魔術師(マスター)を選出し、マスター達はそれぞれ史実や伝承に存在する古今東西の英雄たちを七つのクラスに当てはめた使い魔(サーヴァント)として召喚する。
この七組の主従が自身の願望を叶える為に最後の一組になるまで殺し合う戦いは名を「聖杯戦争」と呼ぶ。
主人公である衛宮士郎は十年前に起きた冬木大災害の生き残りで、今は亡き義父の衛宮切嗣による指導を繰り返し鍛錬を続ける半人前の魔術師として暮らしていた。
高校生となっていた士郎はある日、夜の学校で偶然にもサーヴァントであるアーチャーとランサーの戦いを目撃してしまったことから、ランサーに殺されてしまう。 しかし直後に何者かの手により蘇生の魔術を施され訳も分からぬまま家路に着くが、士郎の生存に気付いたランサーが自宅へ襲撃を仕掛けてくる。
ランサーに驚きつつも庭の蔵に逃げ込むが奮闘虚しく追い詰められてしまう。又もや殺されてしまうかに思われたその時、蔵の中に描かれていた魔法陣によって士郎は偶発的にサーヴァントの一人、セイバーを召喚。 セイバーの奮戦により事なきを得た士郎であったが、マスターとなったことで彼自身も当事者として聖杯戦争に巻き込まれることになってしまった。
最初は聖杯戦争への参加に難色を示していたが、彼はこの戦いに無関係な一般市民が巻き込まれる可能性があることを知る。冬木大災害にて自分を救ってくれた切嗣のような「正義の味方」になりたいと願う士郎は、無関係な一般人の犠牲者を増やさせないために聖杯戦争に参加することを決意する。
※この項目はネタバレ回避のため意図的に省略している。又は伏せている情報があります。
衛宮士郎
本作の主人公。穂群原(ほむらばら)学園2年C組に在籍。
10年前に冬木市で起きた大火災の数少ない生存者。その際に助けてくれたのが魔術師である衛宮切嗣であり、養子となった。
切嗣に命を救われたことと助かったのが自分だけであることが非常に強烈な心象として残っており、切嗣への憧れから正義の味方となってみんなを救い、幸せにするという理想を本気で追いかけている。
元弓道部員(現在は退部)であり、その腕は文字どおり百発百中であったという。人助けが生き甲斐であり、他人から頼まれたことに対して基本的に嫌と言わない(言えないのではなく)ため、都合よく利用されることも多い。
学園では「穂群原のブラウニー」の異名を持つ。得意とするのは物を修理することと、家庭料理をはじめとする家事全般。身長が低いことと、童顔であることを気にしている。
養父に無理に頼み込んで魔術の指導を受け、今も欠かさず鍛錬を続けてはいるものの、本来魔術師の家系ではない上、養父亡き今となっては完全な独学であり、初歩的ではあるが、極めるのは至難とされる「強化」という物体に魔力を通し、その物体がもともと持っている性質の一部を強化する魔術しか使うことができず、しかも成功率は低い。
また、魔術回路は一度造って蓄積されたものを起動させれば良いだけという魔術師の常識すら知らず、毎晩行うことを日課にしている魔術の鍛錬のたび、一から魔術回路を造るという死と隣り合わせの危険を犯している。
セイバー(Saber)
本作のメインヒロインの一人。
士郎と契約した剣士の英霊。外見は美しく華奢な少女だが、サーヴァント中最も安定して優秀と謳われるクラス「セイバー」に召喚されたほどの英雄。
ただし、未熟なマスターである士郎との契約が原因で魔力の供給が十分ではなく、思うままに力を振るえずにいる。
性格は良く言えば実直で生真面目だが、悪く言えば融通の利かない頑固、そして負けず嫌い。凛とした表情を滅多に崩さないが、怒ると怖い。その一方で時折、年相応の少女らしさを見せることもある。
ちなみにかなりの健啖家であり、またの名を「腹ペコ王」。
遠坂 凛
本作のメインヒロインの一人。
士郎と同じ穂群原学園(2年A組)に通う女生徒で、魔術師。アーチャーのマスター。亡き父・遠坂時臣の遺志を継いで聖杯戦争に臨む。
家訓「どんな時でも余裕を持って優雅たれ」を実践する。学校では男女問わず絶大な人気を誇る美少女であり、優等生を演じているが、その本性は士郎によると「あかいあくま」。しかし魔術師としての誇りや元来のプライドの高さゆえに誤魔化しているものの、実はかなりお人好しな性格である。
その性格からアーチャーからは「凛は戦いには向いていない。魔術師ならば志より結果を取るべきだ。」と指摘されている。
アベレージ・ワンと呼ばれる五大元素使いの魔術師として高い実力を誇るも、肝心な所で凡ミスをする悪癖(先祖代々の遺伝らしい)がある。
遠坂家の魔術である「力の転換」によって魔力を込めておいた宝石を用いる宝石魔術や、相手を指差すことで人を呪う北欧の魔術「ガンド」を得意とする。
また、料理の腕前は少なくとも得意の中華料理に関してなら士郎より上。ただし和食に関しては味噌汁の作り方すら知らない。
趣味は士郎いじりと宝石磨き。寝起きはかなり悪い。遠坂の魔術の性質上、高価な宝石を多用する必要があるため、見た目とは裏腹にお金に細かい。
士郎と共同戦線を張り、彼の魔術を指導するために衛宮邸へ居候するが、家主の士郎よりも権力を振るう。
間桐 桜
本作のメインヒロインの一人。
間桐慎二の妹。穂群原学園に通う士郎の1年後輩で、士郎にとっても妹のような存在。
弓道部所属。穏やかな性格の美少女。ある出来事をきっかけに、1年ほど前から毎日士郎の家に朝食と夕食を作りに来ている。
以前は暗い雰囲気だったが、士郎や大河の影響で随分と明るくなり、笑顔を見せるようになった。そして今や洋食に関しては料理の師である士郎よりも上。
尚、士郎は気付いていないが、彼のことを恋い慕っている。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
バーサーカーのマスター。
「雪の妖精」を思わせる小柄な少女。愛称はイリヤ。聖杯戦争のためだけに育てられたマスターとして最強の存在。
基本的には素直で無邪気、天真爛漫な性格だが一般的な常識や倫理観が乏しく、特に殺人に抵抗がない(ただしあくまで敵として認識した相手に対してであり、無関係な民間人を手にかけるほど残忍ではない)。
夜に出会えば危険極まりないマスターであるが、昼の商店街に現れたときは人との触れ合い方を知らない臆病な面も見せている。魔術師としては余り洗練されていないが、肉体が魔術回路そのものであり特別製の令呪仕様のため、最高のマスター適正と魔力を持つ。
士郎を「お兄ちゃん」と呼んで慕い、戦争開始直後より執着する。バーサーカーは最強の従者であると共に、冬の城で孤立したイリヤにとっての父親のような存在でもあり、普通のサーヴァントとは一線を画す絆がある。普段の立ち居振る舞いは幼いが、魔術師・貴族の姫として威厳のある一面もあり、「妹」ではなく「姉」としての顔を垣間見せる時もあるなど、様々な側面を併せ持つ。
間桐 慎二
間桐桜の兄で弓道部副部長。
士郎とは同級生で、中学からの数年来の友人。一見秩序と公平を重んじる優等生であり、女生徒にも優しいので人気があるが、実際にはプライドが高く他人をすぐに見下す悪癖があり、口も悪い。
士郎のことも何かと馬鹿にし、時には便利屋同然に扱うも、家に士郎を頻繁に招くなど彼なりの一本筋や友情を持っている。
士郎は慎二の性格をそれなりに理解しており、交友関係が今に至るも続いているのは彼が「歪んではいても腐ってはいない」ためらしい。しかし後輩部員をイジメで退部させるなどの問題を起こしているため、弓道部の部長などには悩みの種の一つとされている。
魔術を行使する為の魔術回路が無いながらもマスターとして聖杯戦争に参加しており、騎乗兵のクラスであるライダーを従え、士郎や凛と敵対していく。
言峰 綺礼
冬木の言峰教会の神父。
今回の聖杯戦争の監督役を務め、神秘の隠匿や退場者の保護などを行い聖杯戦争を円滑に進める役目を持つ。魔術師とは相容れぬ聖堂教会の人間でありながら魔術を心得ており、凛の兄弟子かつ第2の師にしてその後見人である。
不遜かつ余裕ぶった態度で、他人の心の傷を炙り出し、いたぶることを好む。心霊医術を得意とする。
近所の中華料理店「紅洲宴歳館・泰山」の激辛麻婆豆腐が好物である。
葛木 宗一郎
士郎たちが通う学園の社会科教師。生徒会顧問。実直、寡黙な人物で生徒からの評判は悪くない。
藤村 大河
士郎達が通う学園の英語教師で、弓道部顧問と士郎のクラスの担任も兼任する25歳の女性。
士郎からは「藤ねえ」と呼ばれている。祖父・藤村雷画(ふじむら らいが)は「藤村組」という極道を仕切る街の有力者。
その祖父に衛宮家と古くからの縁があり、士郎の養子縁組や遺産相続も取り仕切った関係であることから、士郎とは幼馴染・姉貴分という間柄で、一人暮らしする士郎をいつも気遣っている。
士郎を取られまいとセイバーに竹刀で挑み、当然のように返り討ちに遭った際には大げさに落ち込んだほどである。士郎も彼女をかけがえのない家族と認めている。
衛宮切嗣
故人。
衛宮士郎の養父で士郎は彼の雰囲気から「じいさん」と呼んでおり、大河とも親しかった。
10年前に士郎を災害から救い、身寄りのない彼を養子に迎えた。その際に自分を魔法使いと名乗る。
実際に魔術師であり、士郎に魔術の知識を与えた。士郎を救出した際の「助ける事が出来た」と言う彼の安堵の表情は、士郎曰く「まるで救われたのは自分の方だ」というもので、その後の「正義の味方」についての士郎との会話などから、士郎に「自分が正義の味方になる」と決意させることとなる。
アーチャー
凛と契約した弓兵の英霊。
キザな皮肉屋で現実主義者だが、根底の部分ではお人好し。弓兵のクラスでありながら、弓よりも2本1対の陰陽の夫婦剣「干将・莫耶」による白兵戦を好む。
ステータス自体は平均的な能力だが、それでも剣戟は音速を超える模様。
弓兵として弓を取ることもあり、さらに本来各一個ずつしか所持できない筈の宝具を複数所持し、それぞれ伝承・地域がまるで異なる英霊の宝具をも幾つも所持している。
凛による乱暴な召喚のせいで記憶が混乱し自分が何者か分からないと言い張り、マスターである凛もその真名を知らない。士郎を個人的に敵視しているようだが、その一方で彼に対して的確な助言を送ることもある。
またセイバーに対しても彼らしくない行動をとることから、凛はセイバーに関係した英霊ではないかと推測した。
ランサー
槍兵の英霊。
高い瞬発力と白兵戦の能力を備え、紅い魔槍を持つ。マスターから偵察任務を命じられており、主に単独で行動する。
根は実直で、口は悪いが己の信念と忠義を重んじる英霊らしい英霊と言える。物語の始まりにおいて、戦いを目撃した一般人として聖杯戦争の掟に則り士郎を殺そうとした。
バーサーカー
イリヤと契約した狂戦士の英霊。
身の丈2m半ばを超える巨漢。巨大な岩の剣を軽々と振り回す。第五次聖杯戦争で召喚されたセイバーが最優のサーヴァントなら、バーサーカーは最強のサーヴァントと評されており、肉弾戦では敵無しとされる。
バーサーカーのクラスの固有スキルである「狂化」により、理性や一部の技術を失う事を代償に能力が引き上げられており、その破壊力は圧倒的である。
通常、バーサーカーのクラスは制御や維持の難しさから「弱い」英霊を狂化し能力を高めて使役するが、今回のバーサーカーは元の英霊としての格も非常に高く、剣を叩きつければ衝撃で乗用車が跳ね上がる、地面が陥没するなど手のつけられない怪物となっている。
ライダー
慎二をマスターとして契約した騎兵の英霊。
女性の英霊で、その名のとおり高い騎乗能力と機動力を持つ上に豊富な宝具を用いる。また、彼女自身が所持する神性に由来した魔術を扱うことも可能である。
常に目隠しを装着しており、武器は鎖の付いた鉄杭である。
キャスター
魔術師の英霊。
ローブに身を包んだ女性の英霊で、魔法こそ習得していないものの、魔法に近いレベルの神代の超高等魔術を平然と扱い、魔術師としての能力は魔法使いと同等、もしくは上回るというレベル。
現代で魔術師として比べるなら最強で、対人間では最大最悪の戦果を上げるサーヴァント。しかし大抵のサーヴァント、特に三騎士のクラスに召喚されたものは対魔力を備えているため、魔術が主な攻撃手段となるキャスターは全サーヴァントの中でアサシンと並んで最弱とされているが、決して弱いわけではなく、戦略は他のサーヴァントにはないほどの最高クラスである。
そのため、得意である策略を巡らして着実に力を蓄えており、凛からも「一番厄介なサーヴァント」と評されている。
アサシン
暗殺者の英霊。
暗殺者のクラスでありながら侍姿をしており、剣技で他のサーヴァントと真っ向から渡り合う。得物は5尺余りの備中青江。
何事にも動じないクールな性格の持ち主だが、花鳥風月を愛でる雅な一面もある。
キャスターのルール違反によって召喚されたサーヴァント。英霊であり、既に死んでいるキャスターがマスターとなってサーヴァントを召喚することは、「生者のみが死者を甦らせられる」という原則に違反するため、強引に土地を依り代にして「マスターが存在しない」状態で召喚された。
※この項目は意図的に伏せている情報があり、またあくまでこのホームページ内の情報を理解するのに必要なもののみ掲載しています。
魔術
人為的に神秘・奇蹟を再現する行為の総称であり、魔力を用いて「既に世界に定められたルール」を起動・安定させ、神秘を起こす術式。
魔術はここ数百年間は文明の後追いをしている状況であり、かつて魔術にしか成し得なかった奇跡は、文明の発達に伴い、その代用品程度になっている。
だが、魔術の神秘・奇蹟は結果より過程にこそある。何故なら結果だけならその道具などで出来るが、そこに掛かるコストや時間などの過程が発生するが、その過程を魔力で叶えられるからこそであり、故に過程こそ魔術の神秘・奇蹟があり、万能と言わしめる所以である。それでも物によっては魔術で叶えるとコストが割に合わない場合がある。
また魔術はその現象を知っている者が増えれば増えるほど威力を増すが、その現象の原因を知っている者が増えれば増えるほど神秘性が失われて威力が減るため、魔術師は「自己の研究を自己にのみ開示する」という機密主義を課す者が多い。特に一般人に知られることを最大の禁忌であり、その者を口封じする掟がある。
前述の理由から魔術はその魔術を行使した土地の信仰心(信仰の対象とその信心深さと信仰する者の人数であり、言わば知名度と言える)に左右され、自分の基盤である土地ではない場所で魔術を使えば、少なくても確実に劣化する。
魔力
魔術を起動させるための要素。
魔力と生命力は同一で魔術を行使するために生命力を変換もしくはチューニングした生命力と言える。魔力生成する方法は二つあり、自然、世界に満ちている魔力(生命力)・大源(マナ)を吸収して自身の魔力にする方法と自身の生命力で生成できる魔力・小源(オド)がある。
基本的に両者の質に差はほとんど無いが、大源の方が小源より遥かに多く、小源はあくまで自身の生命力であるため使いすぎると体に悪影響がでる。ただし吸収する手間がない分使い勝手がいいため多くの魔術師この方法を使う。
逆に大源は吸収する手間こそ在るが生成量が多く自身の生命力を使わないため負担が少ないという利点がある。ただし大源が満ちている場所に限ることと変換出来る量は魔術回路に依るため無限に使うことは出来ず、また保有できる魔力の量も限界がある。
魔力は基本的に体内のみで成形出来る物で外界に出るとすぐに生命力に戻り大源に拡散してしまう。だが魔力は魔術師の体液(血液や精液)に溶けやすい性質があり、また体から出してもしばらくは魔力の保存が利くためそれらを摂取することで他人に魔力を補給することが出来る。
魔術回路
魔術を起動させるための基盤。生き物が持つ擬似神経であり、一種の内臓。生命力を魔力に変換する路にして、基になる大魔術式に繋がる路である。
回路を励起させると痛みを伴う。個人によって生まれ付き数が決まっており、失った魔術回路は再生することがない。魔術回路が多いほど優秀な魔術師になる。代を重ねる毎に優秀な魔術師を輩出する傾向があるため、魔術師は血統を重視する。
魔術協会
単に協会とも呼ばれる。魔術を学ぶ者たちによって作られた(名目上の)自衛団体。
魔術の管理・隠匿・発展を使命とし、身を守るために武力を持ち、魔術の発展(衰退)のための研究機関と魔術による犯罪抑止のための掟を持つ。
紀元2世紀に誕生した魔術協会は三大部門に分かれており、ロンドンの「時計塔」、エジプトの「アトラス院」、北欧の「彷徨海」がある
聖堂教会
単に教会とも呼ばれる。一大宗教の裏側であり、教義に反したモノを排斥しようとする『異端狩り』が特化し巨大な部門となったもの。
多くの管轄に分かれており、異端審問員である「代行者」や「異端審問騎士団」、「『異端狩り』のエリート部隊のようなもの」と称されている「埋葬機関」などがある。
奇跡は選ばれた聖人だけが取得するもので、それ以外の人間が扱う奇跡は全て異端と見なしているため魔術協会とは折り合いが悪いが、現在は協定が結ばれ仮初の平穏が保たれている。
聖杯戦争
広義においては真贋を問わず聖杯と呼ばれるものを手に入れるための行為全般を指す。
冬木の地の聖杯戦争は、聖杯によって選ばれた7人のマスター(後述)が、サーヴァント(後述)と呼ばれる聖杯戦争のための特殊な使い魔を使役して戦いあう形をとる。
この戦いのインターバルは通常60年を要するところだが、前回の聖杯戦争では呼び出された聖杯が結局使われないままに終わり、本作の舞台である第五次聖杯戦争の開催が早まる原因となった。
聖杯
「万能の釜」や「願望機」とも呼ばれる手にする者の望みを実現させる力を持った存在。
冬木の聖杯は聖堂教会に観測された第726個目の聖杯候補であり、表向きは真贋(しんがん)の判断が付いていないことになっている。
これを手に入れるには聖杯戦争にて最後の一組になる必要がある。尚聖杯自体は実体を持たず霊体であり、手にするためにはサーヴァントの存在が必要だと言峰綺礼から説明が為される。
マスター
サーヴァントと契約して聖杯戦争に参加する者。聖杯が選別したマスター候補者が、召喚されたサーヴァントと契約することでその資格を得る。
サーヴァントとの間には見えないつながりが築かれ、現界のための依り代と魔力供給の役割も併せ持っており、召喚者にはサーヴァントを支配・制御するための令呪(後述)が与えられる。また、マスターには人それぞれの形でサーヴァントのパラメータを認識する能力と、英雄に関する知識が与えられる。なお、つながりによってお互いの過去を夢などで見ることもある。
召喚者以外の者がマスターとなる場合もあり、その際は脱落者の未使用の令呪が与えられる。
ただし、聖杯が認めるマスターの最低限の条件は魔術回路があること(正確には、自身が魔力を生成できること)で、その他の方法でマスターになった者を聖杯はマスターと認めず、令呪を与えることはない。
令呪(れいじゅ)
聖杯により与えられるマスターの資格で、自らのサーヴァントに対する絶対命令権。
腕のどこかに3画の聖痕として現れ、3回までの命令が有効。個人によって形状の差異はあるが、使用するたびに1画ずつ消えていくと言う共通点を持ち、いずれも強大な魔力が込められている。
命令が具体的なものであればあるほど強制力が大きく、また、場合によっては本来なら不可能な行為(例:数kmの瞬間移動)を可能にすることもできる。逆に、命令が曖昧(あいまい)で長期に渡る具体性のないもの(例えば、常にマスターの命令通りに行動させるなど)である場合は効果が薄くなり、少なからずペナルティはかかるものの、命令に逆らうことも出来る。
令呪を使い果たしたとしてもサーヴァントが裏切らなければ契約自体は維持できるが、もし裏切れば自分のサーヴァントに殺害されることもあるので、基本的に使い果たすのは推奨されない。
サーヴァント
聖杯の助けによりマスターに召喚され、彼らに使役されることになった英霊。ただし英霊本体を呼び出せるのは世界のみであるため、厳密には英霊の情報を元に作り出された分身というべき存在である。攻撃能力はおよそ戦闘機1機分。
本来、英霊として召喚される彼らは意思を持たない純粋な「力」として使役されるが、冬木の聖杯戦争においては、一度の聖杯戦争につきあらかじめ通常7つの器(クラス)、セイバー(剣の騎士)・アーチャー(弓の騎士)・ランサー(槍の騎士)・ライダー(騎乗兵)・キャスター(魔術師)・バーサーカー(狂戦士)・アサシン(暗殺者)が用意され、そのクラスに該当する属性を持った英霊を召喚し、クラスの役割に1騎ずつ憑依させることで人としてのカタチと人格を再現する仕組みになっている。
セイバー・アーチャー・ランサーは三騎士と呼ばれ、総じて強力なクラスとされる。
三騎士は確実に聖杯によって用意されるが、他のクラスはたびたびイレギュラークラスに変わる。このクラスシステムによって英霊の能力をそぎ落とすことで、魔法使いにも不可能な英霊の召喚を容易にしている。ただしクラス制限により、例えばランサーのサーヴァントとなった者がセイバーであれば持っていたはずの剣の宝具を失うということがあり得る。
だが単純に武装でクラスが決まるのではなく、クラスの特性である。例として、アーチャーは自身の低ステータスを補う優れた宝具を所有する特性があり、飛び道具が存在しないか主体でない者でもなる者もいる。また、バーサーカーなど属性の強いクラスの場合、英霊の一部の面を強調することで他のクラスと異なる姿で現れる場合がある。バーサーカーとアサシンは召喚の詠唱に2小節を加えることによって、任意で召喚できる。また、サーヴァントの真名(しんめい)を知られるということは、同時に弱点を晒すということにつながるため、真名がマスター以外の者に知られないよう普通はクラス名で呼ばれる。英霊の肉体の年齢は逸話や呪いなどがない限り、全盛期の肉体で召喚される。
英雄である彼らは、基本的に人間がまともに戦って敵うような相手ではなく、彼らの半身ともいえる「宝具」をはじめとして現代の人間より遙かに強い力を持った存在であり、さらに本来の力に加えて伝説の知名度や信仰による恩恵を得て力を振るうことができる。
これに加え、戦争が開催される土地が地元の文化圏に近いほど劣化(ステータスの低下、装備スキル宝具の喪失)を避けられる. そして、器(クラス)に収まることで、クラスに応じた固有の技能(剣・弓・槍の三騎士の「対魔力」、狂戦士の「狂化」など)や、その時代や地域、聖杯戦争のシステムに対する知識が与えられている。それと別でマスターの性質により能力に補正がかかる。
また、上述のとおり架空の英霊の召喚は可能だが、それは本人ではなくその英霊の特徴や神話などに該当する人物が呼び出される。ただし、聖杯のシステムからして、東洋の英霊は本来召喚できないようになっている。
また、サーヴァントは死者でなければ召喚は出来ない。すなわち死の要素を持たない不死者や神はサーヴァントになり得ない為呼び出すことは出来ない。
彼らは使役する立場であるマスターより遥かに強力な存在だが、「現界のための絶対条件」としてマスターからの絶対命令権である令呪の縛りが課せられていて、マスターはサーヴァントに3度だけ絶対に従わせる命令を下せる。
さらにサーヴァントらは現世に留まるために現代の依り代を必要とし、現界のための魔力もほぼ自給できないため、マスターとの協力関係を余儀なくされる。
彼らの本質は霊体であるため、たとえ彼らが実体化している時でも、神秘の存在しない攻撃は効果がない。逆に神秘さえあれば、ペーパーナイフでも傷つけられる。魔力供給を断たれると霊体に戻り、前述したマナの薄い無機物を通り抜けることができる。
Fate/stay nightは物語の途中の選択肢によって生まれる状況の差異により、ストーリーが計3ルートに分岐する方式が取られており、全てのルートで全てのサーヴァントの役回りが異なる壮大なビジュアルノベルとなっている。
また、分岐できるようになる選択肢が現れる条件から、プレイ可能なシナリオの順番は固定されており、隠された真相が後のルートで明かされるという相互補完的な要素が盛り込まれているのも大きな特徴である。
尚、エンディングは45個存在するが、その内バッドエンドやデッドエンドが40という多さも特徴として挙げられる。
"Fate"(セイバールート)
セイバーが聖杯を望む理由と、彼女にとっての救いを描いたルート。
最初にこのルートをクリアしなければ次のシナリオに進めない形式で、エンディングは1種類のみ。
セイバーと士郎がお互いを理解し尊重するようになっていく過程で、自らの折れかけた「思い」を相手の生き方の中に再確認し合い、最後にはその思いを貫くためにそれぞれの道を選んでいく。
"Unlimited Blade Works"(遠坂凛ルート)
セイバールート終了後に分岐可能。
サーヴァントとマスターの契約破りや裏切りが横行し、敵味方の関係が目まぐるしく変化するシナリオ。
アーチャーの意外な正体が明らかになると共に、士郎自らサーヴァントと戦うなど、主人公・衛宮士郎のルートでもある。これから士郎が歩むことになる険しい道と、それを突きつけられてなお揺るがぬ彼の決意を描く。
"Heaven's Feel"(間桐桜ルート)
上の2ルート終了後に分岐可能になる作品中もっとも長いルート。
聖杯戦争を描いたこれまでのルートと根本的に異なり、そもそも「聖杯」とは何か、なぜサーヴァント同士の戦いが必要だったのかという核心の謎を明らかにするシナリオである。
また、士郎の人格が抱える歪みを解決し、彼が救われるための在り方の一つを提示する意味も含まれている。
なおこのルートには、制作段階で断念された“イリヤスフィール・ルート”としての側面も含まれている。