アンドリュー・ロバートソン

まさに夢のようなステップアップだ。今や誰もが認める欧州最強チームであるリヴァプールで不動の左サイドバックとして活躍するアンドリュー・ロバートソンは、欧州王者になる約6年前までスコットランドの4部リーグでプレーしていた。

地元グラスゴーの名門であるセルティックでプレーしていたロバートソンだが、15歳時には身体が小さいという理由により移籍を余儀なくされた。名門を追われたロバートソンは、当時スコットランドの4部に所属していたクイーンズパークに加入。サッカーだけで生計を立てることができず、アルバイトも経験した。

「セルティックから(4部の)クイーンズパークに行くなんて誰だって最悪だと思うだろう。15歳という若さで夢を失ったんだから」

のちに『ガーディアン』でのインタビューでそう語ったロバートソンだが、「周囲に素晴らしい人たちがいたことは最高だった」こともあり、腐らずに成長。すると、翌シーズンにはスコットランドのトップリーグに所属するダンディー・ユナイテッドに引き抜かれる。そしてここでも年間ベストイレブンに選出されるハイパフォーマンスを披露し、1年後にはプレミアリーグのハル・シティへの移籍を実現させた。

2年の間にスコットランドの4部からプレミアリーグのクラブに移籍したこと自体が信じられないことだが、ロバートソンの飛躍はこれにとどまることはなかった。降格と昇格という浮き沈みを経験したハル・シティで好プレーを継続していたロバートソンは2017年夏、リヴァプールを率いるユルゲン・クロップ監督の目に留まり、国内屈指の超名門への加入が決まったのだ。

リヴァプール移籍当初はなかなか定期的な出場機会を得ることができなかったロバートソンだが、これはクロップ監督がチームにゆっくりと馴染ませるための方針であり、プレミアの水に慣れるとともに着実に出場機会を増やし、パフォーマンスも向上。そして、2018-19シーズンにはリーグ戦36試合に出場するフル稼働ぶりで、「11」ものアシストを記録したのだ。さらに、世界最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグでも12試合に出場。14年ぶりの戴冠を果たしたチームに必要不可欠な存在となり、母国スコットランドの主将にまで上りつめた。

いまや世界屈指の左サイドバックという評価を得るロバートソンは、このリヴァプールを理想郷と考えている。先日には「今はリヴァプールで引退できればいいと思っているよ。簡単なことではないと思うけど、リヴァプールでキャリアを終えたい。願わくは、たくさんのトロフィーを獲得してね」と『BT Sports』に語ったロバートソン。驚異的な飛躍を遂げて夢物語を実現した男は、厳しい過去の経験を糧に今後も多くのタイトル獲得に貢献していくはずだ。


プレースタイル

地上、空中問わずに対人プレーに滅法強く、ドリブルで抜かれただけでニュースになるほどの守備能力を誇る。タックル、ブロック、カバーリングのどれもが素晴らしく、なによりプレーを読む力が傑出。さらに足下の技術やフィード力も高く、ビルドアップにおける貢献度も高い。まさに完全無欠のCBとして欧州王者に君臨している。

セットプレーのターゲットマンとしても頼りになる存在で、打点の高いヘディングを武器にクラブと代表で貴重なゴールをいくつも決めている。

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