モハメド・サラー
今欧州サッカー界を席巻するリヴァプールにおいて、絶対的なエースに君臨するのが、モハメド・サラーだ。
母国エジプトでキャリアをスタートさせたサラーは、2012年にバーゼルへと加入し欧州初上陸。スイスで評価を高めると、2014年にチェルシーへとステップアップを果たした。しかし、欧州屈指のビッグクラブではわずか19試合のみと大苦戦。失意のまま、2015年1月に期限付き移籍で離れることになる。
しかし、加入したフィオレンティーナで大活躍。自慢のスピードを武器に、26試合で9ゴールを記録し、ヨーロッパリーグやコッパ・イタリアのベスト4進出に大きく貢献した。セリエAで評価を高めた彼は、同年夏に今度はローマ移籍を選択。ヴィンチェンツォ・モンテッラ、リュディ・ガルシア、ルチアーノ・スパレッティの指導で才能が開花し、83試合で34ゴール22アシストと大活躍を収めた。本人も「クラブと街を今でも愛している」と後に語っている。
ローマでのパフォーマンスが世界中の目を集めると、2017年にリヴァプールへと移籍。移籍金は最大5000万ユーロと、当時のクラブ史上最高額であった。一度は夢破れたプレミアリーグの挑戦だったが、イタリアから戻った後は大爆発。加入1年目でいきなりリーグ戦32ゴールを挙げ、38試合制となってからの歴代最多記録を更新。翌シーズンも22ゴールを奪い、2季連続で得点王に輝いている。本人はその秘訣を「(ユルゲン)クロップから常にゴールの近くにいろと言われてからだね」と明かしている。
リヴァプールに14年ぶりのビッグイヤーをもたらした。クロップ政権下では144試合91ゴール。“欧州最強”と謳われるリヴァプールの顔の1人だ。
プレースタイル
爆発的なスピードに圧倒的な決定力、切れ味鋭いドリブルが最大の武器。イタリア時代は右サイドを高速で駆け上がり、切り込んでシュートを狙う形が得意パターンだったが、クロップ監督の指導でさらに進化。上記の持ち味をそのままに、ゴール前の狭いスペースでも巧みなステップでシュートコースを作り、鋭い振り抜きでゴールを陥れる形が増えている。また一目でわかるほどの強靭な肉体を活かし、相手を背負うプレーも日に日に向上。より完璧に近いアタッカーへと進化した。
「自身のゴールにこだわりすぎる」との批判もあるが、40アシストという数字がただのエゴイストではないことを物語っている。また不得手ながらも守備を怠ることなく、ハイプレスの第1陣として機能している。